当時はセレクションがなく一学年で80人くらいいて、(元日本代表MFの)稲本潤一(関東社会人リーグ1部の南葛SC所属)らすごくいい選手がいっぱいました。それが中学1年生のスタートで、タレントたちのなかで上手に生きて残っていったタイプですね。センターフォワードでしたが、センターバックに転向してプロを目指しました。当時はナイター設備もなく、グラウンドは人工芝でもない公園のような場所で練習をしていて、冬は暗くなるのが早いので1時間くらいしかボールが蹴れない。やることは走ることしかなくて、ずっと走っていました。みんなうまかったので監督は『走らせておけば勝てるだろう』と思ってたんじゃないですか(笑)
もっといろいろとコーチたちに教えてほしかったなとは思っています。だからこそ、指導者をしているという面もありますね。プロにはなれないなと見極めたのも早かったです。そのなかでも指導者の方々には可愛がってもらいましたよ。G大阪ユース時代は西村昭宏監督(JFL高知ユナイテッドSCゼネラルマネジャー)が恩師ですが、センターバックは「楽して守れ」とコーチングの大切さを教えていただきました。後ろからタレントぞろいのチームメートを声で動かして楽しかったですね。その時代のコーチングが今の指導にも生きているんじゃないかな
一番最初に思ったのはサッカー選手の人口、子どもの数は多いなと。全体的なレベルも高いですね。また、指導していて思うのはすごく理解するのが早く、言うことを聞いてくれて、いい意味でやり遂げられる。ただ一方で言いすぎると、そちらに集中してしまうので気をつけています。これまで両方を見てきて、心と頭が早熟な選手は伸び率が高いです。僕が言ったことをやれる、それプラスアルファのことができる選手を育てたいと思っています
彼らはもうプロにはなるだろうと思っていました。律は名前を呼んだだけで何を言われるかを感じ取れる選手。聞く力も高かったです。最近の選手たちは誰かにコーチングしているときに、自分のことのように聞き入れることやコミュニケーション能力が少し足りないかもしれません。律はそういう能力に秀でていました。大地はとにかくうまかった。既に現在のような飄々としたプレースタイルで。中学1年生の途中まで指導しましたが、ケガに苦しんでいたという記憶もありますね。大地はユースには昇格しませんでしたが、タイミングもあるものです。ほかのチームに行っても、いずれはプロになるだろうなという才能豊かな選手でした
パソコンを使ってデータ表などを自分で作成していたころと比べて3分の1くらいの手間になりました。データ管理の作業が早くでき、見やすい。アナログな僕でも簡単に作れます(笑)。選手と指導者が悩みなどを共有していけるツールになれば、より良くなっていくのかな。また、サッカーノートだと指導者に預けている間は選手が記入できなくなるので、イデップのように入力するタイプだと便利ですね。選手のコンディションのところだけでなく、選手には思っていることをちゃんと書いてもらい、僕たちはそこから悩みを読み取る力が必要だと思います。もちろん練習中も選手の表情を見て、心の声まで聞くようにすることは僕たちの仕事です
「僕が言っていることをそのままやるのはダメだよ」とは伝えています。観客をだますプレーができるのがいい選手。「こうするだろうな」という予想に反して、「ここが見えていたのか」と驚かすような選手が育ってほしいです。教えた以上のことができるように指導していきたい。来年すぐに結果が、ということでもないと思うので3年後、5年後を見据えています。また、選手のためにやったことが日本のためになればいいなと思うし、よく『誰々が育てた』などと言われていますが僕はあまり気にしていません。挫折も大事なことであって、サッカーだけがうまくてもいい訳ではない。結局、人間性ですぐれていないとプロでは通用しないと思います。トップチームキャプテンでジュニア世代から横浜F・マリノス一筋の喜田拓也選手のようなプレーヤーも育てていかないといけません
体はどうしても間に合わない部分があると思うので焦りません。横浜F・マリノスユース、トップチームの横浜F・マリノスの選手としてプレーできるように体も心も成長させていきたいですね。まずは技術と特に判断力や理解力など頭のところをジュニアユースの3年間でしっかり指導し、ユースでは体をしっかり作り、大きくなっていけばチャンスが広がるとの考えでやっています。昇格する選手たちはトップチームのスタイルである(攻撃的でスピーディーな)『アタッキングフットボール』が普通にプレーできる要素があるか、ないかを評価基準です。トップチームが目指すスタイルを具現化できる選手たちが上がっていくべきかなと思います
僕たちは好きなものでつながっているので、そういう難しさはないかなと思います。ただ、中学1、3年生は昇格、降格の関わるリーグ戦があるのですが、中学2年生はありません。公式戦が少ないので2年生はあまり追い求められていない印象で勝った、負けたという意識が少し弱いかな。3年生になると勝敗が関わってくるので、2年生のときにどう指導するかはすごく大事になります
長年、指導してきて早い年代から海外の大会に出た方がいいなと思います。海外の大会に出ると、相手は本当にサッカーをしている。戦術、戦術しすぎていないというか、自分たちの戦術もしっかりやるけど、修正しながらも戦っている印象です。そういう大会に出て選手が感じるものは大きくて、変われるし、横浜F・マリノスジュニアユースも中学2年生ぐらいで海外に行った方がいい。海外サッカーを見ることも大事ですが実際に行って感じるものは違うし、指導者も影響を受けるだろうし、日本のサッカーのレベルアップにつながると考えています
対戦経験もあって強いことは知っていますが、そのクラブが変わろうとしているところに入り、プロとして初めて仕事をしているような感覚です。個人を伸ばそうという元々の良さがあるのでやりやすい部分はありましたが、いろいろと試行錯誤する時間も必要でした。これまでの20年間の指導ではやったことのないトレーニングを試したり、自分自身もどんどんアップデートできるよう心掛けました。選手が伸びるようにメニューを組み立てていけたらなと思って取り組んでいます
まだ何もないです。今の環境で満足することがないので。クラブの方針や考え方もあるなかで、もっとやらなきゃいけないなと思っています。手応えなどを感じている時間はないですね。毎日でも練習がしたいです。それは昔から変わらないし、だいたいは1年スパンなのでそこにギュッと詰めて練習することになります。『大変なお仕事ですね』などと言われますが、だからこそ面白いです。正解のないものなので毎日、反省もしながら指導しています
攻撃の方が好きなので。元々はセンターフォワードですし、自分が点を取りたいという考えがあります。それを武器に今までずっとやってきて、自然と攻撃的になるようになっています。また、自分が育成年代当時は、全国大会に行かないとなかなか強いチームと戦えず、ずっと攻めていましたね
飲み込みが早くて、指導したことの吸収がいい。ストロングはシュートという武器があります。決定率が高いですね。ザ・関東という選手で、もっと自分を出してほしいのでキャプテンをやってもらっています
中学1年生を教えるのが好きですね。サッカーもそうだし、人間的にも伸び代があるので。その年代の指導では自由なところと強制するところのバランスが大事だと思っています。白と黒、グレーでもいい。そこをちゃんと教えられる指導者がいい指導者で、トレーニングで大事にしているところです。僕が育成で大事にしているテーマは『リスクをどれだけ負えるか』。僕たちはリスクをおかしてでも勝ちに行く。そういう勝負にこだわる姿勢を教えたいと考えています。宮本恒靖さん(日本サッカー協会専務理事)がG大阪ユース監督だったときにコーチとして学ばせてもらいましたが、勝つために準備する大切さは今も影響を受けています